KIDS ACADEMY CLUB

ARTISTS COMMENTS 2025

オープンから半年が経ち、
アーティストの私たちがいま思うこと


⼤内 ⾵

⼦どもたちと向き合うとき、スクールが⼤切にしているのは、彼らが⼤⼈になったとき、いきいきと⾃分で考え、⾃分で⼈⽣を切り開けるようになることです。ものづくりを通して成功体験を重ね、⾃⼰肯定感を育むことは、その第⼀歩になると信じています。「好き」「やってみたい」という純粋な好奇⼼こそ、創作の原点です。アーティストである私たちは、その気持ちを尊重しながら、⼩さなアーティストたちに寄り添い、制作のサポートをしています。先⽣と⽣徒という関係ではなく、同じ“つくり⼿同⼠”として接すること。それは⼼が温かくなるような、特別な時間です。思い返せば、私が⼦どもの頃、⼤⼈たちはそのような接し⽅をしてはくれませんでした。良いこと・悪いことを⼀⽅的にルールとして伝え、できれば褒め、できなければ感情的に叱る。「なぜ良いのか」「なぜやってはいけないのか」といった本質について、⼀緒に考えてくれる⼤⼈はいませんでした。けれど、本来ものづくりに“良い作品”“悪い作品”など簡単に決められるものではありません。寄り道をし、⼈の話を聞き、⾃分で考え、探究していく ─そのプロセスすべてが創作です。⼦どもたちと直接向き合う中で、私は改めて、アーティストにとっての「対話する姿勢」や「柔らかい⼼のスタンス」の⼤切さを強く感じています。⼦どもと決めつけず、ひとりの“つくり⼿”として接することで、私⾃⾝も内⾯を⾒つめ直すことができています。⼤⼈と⼦どもが⼀緒に学び合える環境をつくること ─それこそが、何よりも⼤切な使命だと感じています。

久⽶ 沙織

アートを通して⼦どもと向き合う時間は、驚きの連続です。⼦どもは“技術”や“意味”や“評価”を知らないのに、まるで⼼の奥に直結したような作品を⽣み出します。粘⼟を丸めただけで宇宙が始まり、⼀つの線から物語が⽣まれ、⾊を置いただけで感情が跳ねる。⼦どもの⼼には、⼤⼈が擦り減らしてしまった創造のひだが、まだ繊細なまま息をしています。その現場に⽴ち会うたびに、私は思います。⼦どもの創造性は、アートの源泉そのものだと。ただ昨今は、AIが作例を出し、SNSが評価の軸を素早く提⽰してしまうような時代。便利な反⾯、「失敗から寄り道して、⾃分らしさを掘り起こす余⽩の時間」が、⽬に⾒えない速度で失われつつあります。創造性は、完成品からではなく、“不器⽤で不確かで、⾃由な試⾏錯誤”から⽣まれているのに。私が⾃由創作教室で⼦どもと向き合いながら感じるのは、“創造の時間を守ること”こそ、いま⼤⼈が果たせる最も⼤切な役⽬だということです。私たちは、⼦どもたちの代わりに何かを上⼿につくる必要はない。正解を教える必要もない。評価する必要すらない。必要なのはただ⼀つ。「あなたの中にある世界は、そのままで価値がある」という空気の中で、⼦どもたちが⾃分の⼿を動かせる環境をつくること。彼らはその空気を吸うことで、⾃分の内側に“創造していいんだ、⾃分を肯定していいんだ”という種を宿す。その種は時間がかかっても、必ず芽を出す。そしてその環境をつくる⼤⼈⾃⾝も、知らないうちに⾃分の内側の創造性を取り戻していきます。アートの世界は、評価も市場も競争もあります。社会にでると、技術・才能・将来・収⼊・肩書きのプレッシャーが、時に⾃分の本質を覆い隠してしまうこともあると思います。でも、⼦どもの創造現場に⽴つと気づきます。“創造とは本来、⽣きものが⽣きものとして息をする⾏為”だということに。⼦どもの想像の瞬間に触れると、⾃分がアートに惹かれた最初の理由が蘇ってくる。綺麗な作品をつくることが⽬的じゃなく、評価されるためでもなく、ただ、「⼼の衝動に触れたかったから」なのだと。その原点と再会できる仕事は、⽣きがいに直結します。アートを“社会に渡す側”=ただ作品をつくる⼈ではなく、“創造という営みを未来に⼿渡す役割を持つ⼈”となる。SNSやAIが便利さを提供するほど、もっと⼈間的で、もっと本質的な役⽬が必要になります。アートを通して⼈の内側に触れること。創造の⽕を消さないこと。表現の⾃由を次の世代へ残すこと。それらはすべて、技術より市場価値より、よほど⼤きな⽣きがいになります。そしてその⽣きがいは、あなた⾃⾝の創造の源泉をも強く灯し続けます。アートを学ぶことには、作品以上の未来的な意味がある。それを忘れずにいたいと思います。

荒野 栞菜

⼤学では得られない、⼦供ならではの視点や考え⽅が⾃分にはない価値観として刺激となっている。他の教室では『先⽣と⽣徒』という関係性が多いが、KAC では『同じアーティスト同⼠』という関係性で接するため、お互いにアドバイスをする事も良くある。私が⼦供たちに教えられることがあるように、⼦供たちが私に教えてくれることも沢⼭あるため、お互いにとって刺激になるような関係を作れることが魅⼒だと感じている。また、制作を続けていく中で作品に対する悩みが増えていくが、KAC で⼦供たちと触れ合うことで、その素直な発想や発⾔から純粋に美術に触れる楽しさを改めて感じることが出来ている。勤務⾯では働く曜⽇や時間がある程度決まっているため、働きつつ⼤学や制作などとも両⽴しやすいと感じている。イベントの参加もあり、普段の学⽣⽣活とはまた違った経験をすることも出来る。⾊々な経験をされた⽅と⼀緒に働いているため、それぞれの経験を踏まえた⽬線や観点で話し合いをすることが多く、⾃分の価値観や知識を広げることに繋がっている。

荻野 祥英

僕はここで働いてみて、⼦供の持つ⾊彩感覚や発想⼒に何度も驚かされました。⼤⼈が「こうなるだろう」と思い込んだ枠を、あっさり⾶び越えてくる瞬間が本当に多いです。失敗しても全く気にせず、何度でも⼿を動かして挑戦する姿勢には、逆にこちらが元気をもらいます。教える⽴場でありながら、⾃分が学んでいる感覚が常にあります。この仕事をオススメしたいのは、⼦供が好きなのはもちろんですが、特に「観察」が好きな⼈と、想像⼒のある⼈です。⼦供たちの動きや迷い、素材の選び⽅をじっと⾒ていると、「次に何が⽣まれるんだろう?」と⾃然に想像が膨らみます。その想像が⼿助けになったり、逆にその⼦の創作のヒントを奪わないよう距離感を考えるのも、⾯⽩いところです。作品が少しずつ形になっていく過程を共有できた時は、⾃分事のように嬉しいです。そしてここでの経験は、⾃分の創作にも必ず返ってきます。⼦供たちが⾒せてくれる“予測不能な組み合わせ”や“素材の扱い⽅”には、アートにも通じる独⾃の視点があります。それを間近で観察し続けられる環境は、藝⼤⽣にとっても貴重だと思います。僕⾃⾝、⽇々インスピレーションをもらっています。

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